2023 ふぁん7月号
第76回通常総会に当たりご挨拶申し上げます。昨年は人数制限をした中での開催でしたが、今年は来賓の皆様をお招きして4年ぶりに制限なしでの実開催となり、誠に喜ばしく思います。お忙しい中ご出席賜りましたご来賓の皆様に感謝申し上げます。
昨年は北京オリンピックが閉幕して4日後の2月24日にロシア軍によるウクライナ侵攻が始まり、泥沼化の様相を呈していますがプーチン大統領に侵攻をやめる気配はありません。知床観光船沈没事故による北海道観光への悪影響や、安倍元首相銃撃事件を発端にした旧統一教会の問題が政治的・社会的に表面化し大問題となるなど、暗いニュースの多い1年だったと思います。
また、年明け1ドル115円台で始まった為替相場も10月には一時的に150円を超え、その後も円安は収まらず130円台で推移しています。ウクライナ侵攻と相まって原油価格、配合飼料価格、肥料価格をはじめ生産資材高騰が続いており、価格が下がる見通しが立たないまま酪農経営を圧迫し続けています。
日本社会全般でも物価高騰で消費マインドが下がって牛乳・乳製品の消費が落ち込み、脱脂粉乳の在庫は積み増しが進み一時10万トンを超える事態となりました。その後は国や乳業メーカー、酪農家の拠出金により徐々に在庫量はバター・脱脂粉乳ともに減っている状況で、現在バターの在庫は適正量に近い水準まできているのではないかと思います。しかし、4月からの加工原料乳価10円引き上げ前の駆け込み需要とも考えられ、また乳価引き上げによる消費低迷も予想され予断を許しません。
昨年は乳価据え置きで始まり、11月に飲用乳価が10円上がっただけで酪農家の経営が非常に厳しい状況の中ではありましたが、当農協の財務状況においては、皆様からの出資金は14億円を超えることができ、資本金は昨年と同様に34億円を維持することができました。貯金残高は162億円を超えるところまで来ております。
生乳取扱量は前年度2.3%減の94,474トンとなり、総乳代は100億円を割り込むこととなりました。家畜販売などを含む総売上高でも120億円を割り込むこととなりましたが、税引前当期利益を93,994千円上げることができ、出資配当金として11,774,730円、事業分量配当として45,381,307円を計上して本総会にご提案することができました。これもひとえに組合員皆様のご理解とご協力の賜物と感謝申し上げます。
子会社・関連会社の状況でありますが、コープ浜中はコロナ禍の中、また1か月以上の内装工事の中でも売上高を確保して経常利益を出すことができました。酪農王国、若牛の里は生産資材高騰の中、何とか黒字決算とすることができました。研修牧場は赤字となりましたが、一時的なものと考えており一層の努力をしてまいりたいと考えております。
本年度事業としては、良質乳生産と経営安定の取り組みとして現地指導を強化し、自給飼料や堆肥・スラリーを最大限に活用できるよう酪農技術センター機能の充実を図り、生産コストの見直しや経営ロスの改善を提案します。担い手対策は浜中町や農業委員会と連携して本年度中に一組の新規就農を行い、就農希望者の確保に取り組んでまいります。コロナ禍で置き去りにされていた健康診断などの定期検診を強力に推進します。持続可能な社会に向けて理解向上を図ります。コロナ禍で計画から4年間を経過したバイオマス事業を年度内に稼働します。持続可能な酪農を実現するためには、再生産可能な所得の確保と自然環境を意識しながらカーボンニュートラルを理想に近づけていかなければなりません。
非常に厳しい酪農情勢ではありますが、韓国で発生した口蹄疫などの伝染病への防疫やいつ起こるか分からない災害対策など、経営状態に関係なくやらなければならないこともまだ残っており、しっかりと準備しなければなりません。今年の牛乳・乳製品の需給は、インバウンドの回復と乳価引き上げによる消費の減退とが相まって先が非常に見通しにくい状況ですが、組合員の経営と地域社会を守るために今何をするかを考え行動できる農協であるために役職員一丸となって努力してまいります。
最後になりましたが、浜中町長を始めご来賓の皆様のご理解とご協力をいただき感謝するとともに、これからも一層のご協力を賜りますことをお願い申し上げまして私の挨拶といたします。