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2024 ふぁん7月号

 第77回通常総会に際しまして一言ご挨拶申し上げます。

また、ご来賓の皆様におかれましては、時節柄何かとお忙しいなかお時間を割いてご出席を賜りましたことに心より感謝申し上げます。

 昨年はコロナウイルス感染症が、感染症法上2類相当からインフルエンザなみの5塁へと移行して、国内での人流や集まりの制限が緩和され、外国人観光客も増えて日本経済も活性化されることが期待されましたが、タクシーやバスのドライバー不足、ホテルや観光地などでの人手不足が深刻化していて、オーバーツーリズムと言われるようなチャンスロスが生まれています。名目GDPがドイツに抜かれて4位に後退したのも、このようなことの表れかもしれません。世界各地で温暖化の影響なのかハワイ州マウイ島でのけた外れの山火事など、干ばつや大雨による大洪水などが世界のどこかで起き、トルコ地震や能登半島地震のような地球沸騰化とは別に大災害も起きております。身近なところではオソ18に代表されるようなアーバンベアーと言われるヒグマの恐怖もあり、自然災害だけでなく今まで以上に多くのリスクが存在しています。ロシアによるウクライナ侵攻の終わりが見えないなかで、イスラム組織ハマスのイスラエル奇襲攻撃に端を発したガザ地区へのイスラエルからの攻撃は、一部の周辺国も巻き込んでの戦闘となりスエズ運河の航行にも支障をきたしだしパナマ運河とともに運行が厳しい状況となっています。穀物相場は安定しているものの、海上運賃や円相場の関係で輸入穀物や肥料・生産資材価格は高止まりをしています。そんななかで4月に加工原料乳価がキロ10円、8月に飲用乳価がキロ10円、12月にバター・生クリームがキロ6円値上げされ、プール乳価でキロ12円ほどの値上げとなり、個体価格も一時期の底値価格は脱したと思われますが、飼料をはじめとする生産資材価格は高止まりの状況で酪農情勢はあまりうわむいてきているとはいえません。

 農協の運営状況として生乳取扱量は生産抑制や猛暑の影響で前年比3.5%減の91,214トンとなりましたが生乳取扱金額は乳価値上げの影響で107億円を超え、値下がりしている畜産販売金額を含めた総取扱金額は125億円を超えることができました。財務状況としては出資金は14億円を維持し、資本金は35億円となりましたが、貯金残高は営農貯金の取り崩しもあり157億円となりました。当期未処分剰余金は120,659,908円を計上することができ、出資配当金として11,914,512円、事業分量配当金として57,091,770円を計上して本総会にご提案することができました。これもひとえに組合員皆様のご理解とご協力の賜物と感謝申し上げます。子会社・関連会社の状況でありますが、コープ浜中は商品仕入高が高騰するなか営業努力で経常利益を昨年よりも上げることができました。酪農王国・若牛の里は生産資材高騰のなか当期純利益を確保することができました。就農者研修牧場おいて昨年は赤字決算となってしまいましたが今年度は当期純利益を確保することができました。

 本年度事業として、良質乳生産と経営安定の取り組みとして分析コンサルタント室の充実をはかり、今まで以上に現地指導を強化し、飼用管理をはじめ、自給飼料・堆肥・スラリーの活用を酪農技術センター機能を最大限に使い生産コストの見直しや経営ロスの改善を提案します。担い手対策は、浜中町や農業委員会と連携して就農希望者の確保に取り組み、可能な限り新規入植を推進します。組合員と家族の健康を守るために、第9次中期計画から継続している健康診断などの定期検診を推進助成していきます。持続可能な農業を実現するためには再生産可能な所得の確保と、自然環境を意識しながら理想のカーボンニュートラルに近づけていかなければなりません。第10次中期計画ではまず牛から排出される温暖化ガスと浜中町内の草地・山林を含む土地が吸収する二酸化炭素がどのくらいなのかを数値化する作業から始めます。

 まだ厳しい酪農情勢ではありますが、アメリカでは牛が鳥インフルエンザへの感染報告もあり身近なところではヨーネ病やサルモネラ症などの伝染病や、感染症のリスクへの対応や、猛暑への対応やいつ起こるか分からない災害対策など、経営状況に関係なくいろいろなリスクから自分を守るために対応してもらうための支援をいたします。

 今年は円安の影響もあるのか外国人観光客も増えて、インバウンド需要を見込むところではありますが、物価上昇に賃金上昇が追い付いていない日本では、飲用乳の消費が伸びてこない状況であり、牛乳・乳製品の需給の不安はありますが生産抑制から増産型の計画生産へ移行し、自分の必要な乳量の確保がしやすくなりましたが、生産コストが上昇している現状のなか、単純な増産だけでは厳しい経営状況を変えることはできません。経費削減への助言やロスのあぶり出しなどを提案し、組合員が話しやすい、来やすい農協、身近に感じてもらえる農協であり、組合員の一助となれる農協でありたいと思います。組合員の営農と生活を守るために役職員一丸となって努力してまいります。最後になりましたが、浜中町長を始めご来賓の皆様のご理解とご協力に感謝申し上げますとともにこれからも一層のご理解とご協力を賜りますことをお願い申し上げまして私の挨拶といたします。本日はよろしくお願い申し上げます。